【#ワンダヴィジョン 考察】序破急の三部構成と巧みな視点切り替え
こんにちは、@SnapBlipです。
さて、ディズニープラスで配信中のマーベルスタジオ制作ドラマ「ワンダヴィジョン」も、いよいよ終盤に向かって物語が急加速してきました。
マーベルスタジオ初のドラマシリーズということもあり*1、色々な要素が絡み合ってわけがわからないと感じる方も少なくないかもしれません。
しかし7話視聴後に改めて1話から見返してみたところ、序破急の三部構成と巧みな視点切り替えにより実は非常にわかりやすく、楽しみやすいように緻密に構成されているという考察にたどり着いたので、備忘録として書き留めたいと思います。
「序」が無拍子かつ低速度で展開され、太鼓の拍数のみを定めて自由に奏され、「破」から拍子が加わり、「急」で加速が入り一曲三部構成を成す。
ラストスパートがかかるであろう2/26の8話配信の前に、これまでのストーリーのおさらいしましょう。
本記事はドラマ「ワンダビジョン」第1~7話、およびその他のMCU作品のネタバレを含みますのでご注意ください。
Look, we've all been there, right? The seventh episode of Marvel Studios' #WandaVision is now streaming on @DisneyPlus. pic.twitter.com/mvUMhZPY8S
— WandaVision (@wandavision) 2021年2月21日
実はシンプル!ワンダビジョンの物語構造
7話までくると登場人物の多さやそれぞれの目的・行動原理が複雑に絡み合っていて油断するとわけわからん状態になりますが、よくよく見てみるとその構造は非常にシンプル。
シーズン1は全9話で構成されるらしいので、3話ずつをひとまとまりで考えてみると、いわゆる序破急の三部構成で整理できます。
さらにそれぞれのパートで視聴者の視点を巧みに誘導するという飽きさせない工夫が、配信サーバーを落とすほど視聴者の心を鷲掴みにしている、という考察です。
序:歪(いびつ)なシットコム
シーズンの序盤である1~3話は、基本的にはワンダ視点でウェストビューの住人たちによるシットコム(シチュエーションコメディ)をベースに話が展開します。
後に判明しますが、ワンダもこのとき自分がなぜヘックスにいるのかわかっていないため、前情報なく「ワンダヴィジョン」を楽しむ我々視聴者と同じ目線に立っている、ということですね。
さらに話の中で、「実はワンダがヘックスの支配権を持つ」「ヘックスの外の世界から干渉できる」といった2部以降で明らかになる要素が小出しにされるため、ストーリーとしては歪な、不気味な印象を与えることに成功しています。実に巧妙です。
破:2つの世界
中盤に差し掛かると一転、4話まるまるかけて1~3話の裏側でヘックスの外で何が起こっていたか説明されます。
いわゆる種明かし回にも近いですが、どちらかといえば「このワンダヴィジョンの作品はシットコムだけじゃない」「S.W.O.R.D.も現状をよくわかってない」という、舞台の拡張と視聴者の視点切り替え(ワンダからS.W.O.R.D.へ)のための回。
実際、ここから先はワンダが数千人の住人を人質に取っているのではないか、という「ワンダ=ヴィラン説」に沿って、ヘックス内外でそれぞれ物語が展開し、時に絡み合うという非常に高度なストーリーテリングに魅せられます。
さらに、ウェストビュー側でもヴィジョンがヘックスに対して違和感を抱いたり、アグネスが現実ではなくシットコムの撮影であることを認識してる素振りを見せたり、住人たち(配達員やハーブ)はワンダがヘックスの支配権を持っていると認識していたり…
S.W.O.R.D.側もヘイワードとモニカで対立が発生したりと、それぞれが一枚岩ではない様子が徐々に明らかになってきます。
急:複雑化する世界
そしてついに7話では物語が急加速。S.W.O.R.D側ではカタラクト(白目)計画としてヘイワードがヴィジョンを知覚兵器として再利用しようとしている=過激派であることが判明(そういえばS.W.O.R.D.は知覚兵器観察対応局; Sentient Weapon Observation Response Divisionの略でした)。
さらにウェストビュー側でも実はアグネス=魔女アガサ・ハークネスであり、ピエトロに魔法をかけるなどシットコムの裏で糸を引いていたことが明らかになりました。
つまり7話終了時点で、1)ウェストビューで暮らすワンダ一家、2)黒幕アガサ、3)ワンダ達を助けたいモニカ派、4)ヴィジョンを兵器利用したいヘイワード派、の4チームがそれぞれ自分たちの目的のために動くという一見ややこしい状況になっているのです。
(ただしヴィジョンは噓をついてヘックスを支配するワンダに不信感を抱き、モニカ達に近い目的で単独行動しているのでワンダと別といえば別ですが、みやすさのためにウェストビュー側に記載)(双子どこいった)
視聴者の視点もS.W.O.R.D.からより俯瞰的な立場に移り、アガサの正体を知ったワンダ、ウェストビューを救おうとするヴィジョン、ワンダを助けたいモニカ達の一挙手一投足に一喜一憂する構成に変わってきました。
ということで、『シビル・ウォー』でのキャップvsアイアンマンvsジモよりも複雑な4つ巴の構図ですが、7話という時間をかけて丁寧に描写されてきた構図もこのように考えるとわかりやすいのではないでしょうか。
また黒幕といいつつ7話時点では一番気になるアガサの目的が明かされていないため、8話以降ではどうなるかにも注目です。
*1:2/26からディズニープラスでファイナルシーズンが配信されるみんなだいすき「エージェント・オブ・シールド」はマーベルテレビジョン制作